日本を代表する自動車メーカーの1つ、H社は65歳定年延長に伴い、次の人事施策を実施しました。改定・整備の視点が参考となるでしょう。
[更なる主体性の発揮を促す]
創業当時から能力・実力主義の考え方をベースとし、職種や学歴によらない一本の処遇体系を運用してきた。今回の改定では、従業員一人ひとりに能力発揮を促すためにも、その考え方をさらに推し進め、主に、等級の統合、給与設定ルールの見直し、自動昇格の廃止を行った。なお、評価制度には大きな見直しは加えていない。
等級制度の変更(等級の統合)
従来の制度では等級区分は、2002年の給与評価制度の改定以降、一般職層では6等級。さらに全体を下位の「能力開発ステージ」と上位の「能力発揮ステージ」という2つのステージに分け、「能力開発ステージ」は業務経験と自己開発職務遂行能力が開発・形成される段階、「能力発揮ステージ」は一定レベルまで高められた職務遂行能力を発揮して、個人の取り組みによって成果に幅が出る段階と位置づけ。しかし、主任層に対応する等級を2つに分け、その報酬に差を設けることの必要性が低くなっていた。
導入制度
等級区分の考え方は維持。
資格とより整合性の取れた制度となるように統合し、能力開発ステージを含めて一般職層の等級を5区分とした。
自動昇格の廃止
従来制度と課題
「能力開発ステージ」では、選考(在等級年数と在等級中の評価を基に所属長が推薦した者が対象)による昇格、一方で、在等級年数や年齢によって自動的に昇格する仕組み。しかし、個々人の主体性や能力発揮を促していく必要性があった。
導入制度
等級統合に伴い昇格の仕組みを一部見直し、自動昇格を廃止し、選考による昇格のみとした。
[多様な従業員の活躍を促す]
今回の改定のキーワード「安心して仕事に専念」「多様な価値観受け入れ」を実現し、多様な従業員がより生き生きと仕事に取り組むための環境を整備すべく、半日単位の年休制度、在宅勤務、育児費用補助制度、企業内保育所等を新たに導入した。
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