毎年冬になるとはやるインフルエンザ
病気を患った従業員に対して会社が一定期間、就業を禁止する場合があります。これは本人の病状をさらに悪化させないための対策ですが、従業員がかかった病気が細菌、ウイルス等の感染症である場合は出社させると他の従業員が感染してしまうリスクが生じるため出社を禁止することがあります。就業を制限させる感染症を考えてみます。この冬流行している季節性インフルエンザは就業禁止の対象でしょうか。
「感染症」とは、
一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症、新型インフルエンザ等、指定感染症を言います。例えば一類、二類、三類、新型インフルエンザ等は重篤に陥ると生命の危険も伴うような感染症につき、法で就業が制限されています。五類に該当するノロウイルスや季節性のインフルエンザは就業制限には該当しません。
感染症と就業制限
労働安全衛生法第68条では「事業者は伝染性の疾病その他の疾病で厚生労働省で定めるものにかかった労働者についてはその就業を禁止しなければならない」と規定され労働安全衛生規則第61条で次の該当者の就業を禁止しています。
①病毒伝ぱの恐れのある伝染性の疾病にかかった者、②心臓、腎臓、肺などの疾病で労働のため病勢が著しく増悪する恐れのあるものにかかった者、③前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者。ただし、前号の規定で就業禁止にしようとする時は産業医や専門家の意見を聴かなければならない
就業制限と賃金
労働安全衛生法等により就業禁止となる感染症休業は給与や休業手当の支給は不要とされています。ただし、家族が新型インフルエンザにかかって濃厚接触者の社員を休ませると原則休業手当の支払いが必要になります。さらに社員が季節性インフルエンザ等の時、出勤停止命令は平均賃金の6割以上の休業手当の対象になります。会社は安全配慮義務が課せられているので他の社員にうつらないように対処することもやむをえません。感染症にかかった時の報告、休ませた場合の有給休暇、休業手当、特別休暇など、どのようにするのか規定で定めておくのが良いでしょう。