納税環境整備に関しては、改正の柱は、財産債務明細書の見直しとマイナンバー制度の預貯金情報等への利用です。以下、その内容について概観してみます。
財産債務明細書の見直し
大綱では、財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、財産債務調書として整備する、となっています。
(1)提出基準の見直し
現行の「所得金額2千万超」に加え「総資産3億円以上又は有価証券等(出国する場合の譲渡所得等の特例対象資産)1億円以上(12月31日時点)を基準とする。
(2)記載内容の見直し
記載内容は、国外財産調書と同様とし(例:不動産は所在地別に、有価証券等は銘柄別に記載)、価額も原則として時価(見積価額も可)とする。
なお、出国時特例に活用する観点から、有価証券等については取得価額も併記する。
(3)加算税の加減算によるインセンティブ措置の導入
所得税・相続税の申告漏れがあった場合、
① 財産債務調書に記載がある部分については、過少(無)申告加算税を5%軽減する(所得税・相続税)。
② 財産債務調書の不提出・記載不備に係る部分については、過少(無)申告加算税を5%加重する(所得税)。
(4)その他
① 財産債務調書の提出に関する調書に係る質問検査権の規定を整備する。
② 不提出及び虚偽記載に係る罰則規定は設けない。
③ 財産債務調書の記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に配慮する。
この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。
マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置
この改正措置は、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)の改正に併せて国税通則法を改正し、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(マイナンバー)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課するものです。
この改正は、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法案(仮称)において一括して行われ、同法律案に規定する施行の日から適用されます。