土日も営業(平塚)

立法趣旨の是非が問われる

配偶者居住権譲渡課税の配慮は収用だけ? 民法の配偶者居住権制度の今年4月1日からの施行開始に向けて、税制改正としては、すでに昨年早々に相続税法での評価規定新設と措令での小規模宅地特例の適用可化があり、今年は収用の場合の5000万円控除等の配慮規定への適用可化が用意されました。 しかし、配偶者居住権等に係る所得が譲渡所得課税の対象なら、配偶者居住権等は当然にも居住用の財産なのだから、居住用の3000万円控除、居住用の軽減税率、居住用の買換え特例などの適用についての手当を、収用の場合の配慮と同じく、することも必要だったはずです。...

総合課税譲渡資産でも控除可?

通達と解説で課税のあり方を開示 配偶者居住権に係る敷地利用権は、分離課税の「土地の上に存する権利」には該当しない、というのが新しく出された措置法通達の中身です。 土地に関係する権利ではあるが、借家権の場合と同じなので、その譲渡対価は当然に総合課税の譲渡所得になるとしています。 最近公表の「令和2年度税制改正の解説」にも、配偶者居住権の消滅による所得は総合課税の譲渡所得と考えられるから「土地の上に存する権利」には該当しない、と書かれています。 総合課税譲渡所得からの5000万円控除...

遺族年金の生計維持要件

厚生年金保険加入中の死亡  家族が亡くなった時、死亡した人に生計を維持されていた遺族は遺族年金を請求できます。例として厚年年金保険加入中の夫(43歳)が死亡、妻43歳、子10歳が残された場合で見てみます。  夫が被保険者期間中の死亡の場合、遺族厚生年金が支給され、さらに子のある配偶者として遺族基礎年金も支給されます。 この両方を受けられる遺族は、被保険者が死亡した当時、死亡していた人に生計を維持されている必要があります。 生計維持要件とは ① 生計同一要件 ア、住民票上同一世帯に属していること...

解明待ちの「土地の上に存する権利」

小規模宅地特例と配偶者敷地利用権 相続税に於ける小規模宅地特例は、「土地又は土地の上に存する権利」について適用されるとしているので、配偶者居住権に基づく敷地利用権が「土地の上に存する権利」に該当しなかったら、小規模居住用宅地特例の対象にはなりません。 昨年、令和元年度政令改正 昨年は、租税特別措置法では配偶者居住権について特別な改正をしていません。それにも拘わらず、配偶者居住権に基づく敷地利用権は小規模居住用宅地に当然に該当すると考えられたらしく、その計算規定が政令に、新規挿入されています。...

譲渡不可だが譲渡所得

税法は傍若無人か 民法の配偶者居住権は譲渡できないことになっているのに、税法は民法の規定を無視して、譲渡可能資産として扱い、譲渡所得課税規定を強引に作っている、という印象がないわけでは、ありません。そんなもつれた糸をほぐしてみたいと思います。 「譲渡できない」は譲渡禁止ではなくて  配偶者居住権については、民法に「譲渡することができない」と規定されていますが、これは譲渡を禁ずるという趣旨の規定ではありません。...