合同会社と株式会社
合同会社は株式会社よりも目にすることの少ない形だと思いますが、合同会社に出資する人達、つまり株式会社の株主と同じ立場の人達は、自分が出資した以上の義務は負わないという有限責任を負っていて、これは株式会社の株主と同じです。また合同会社の会計上の取扱いの違いもほとんどありません。
相違点は?
全体的に合同会社は株式会社に比べてより強い内部自治が認められています。具体的には株式会社の株主総会に当たる社員総会(この場合の社員は普通の会社の従業員でなく合同会社の出資者を指します)を開く必要がなく、取締役を廃止することも可能です。また監査役を置くことも任意で、規模が大きくなっても会計監査人を置く必要がありません。このため、公認会計士が会計監査人として合同会社に関わるケースはごくわずかです。このように合同会社の運営は個々の社員が行うことになっています。一方で社員の持分(社員としての権利)の譲渡を制限し、業務を行う社員の責任を限定することも可能です。
また対外的にも決算公告を行う義務がなく、設立時に公証人による定款認証も必要とせず、前述のように持分の譲渡制限も可能であるため、株式会社に比べて閉鎖的でありながらも遜色なく流動的かつ迅速に活動できる形態であるといえるでしょう。
合同会社にした理由
他にもさまざまな理由はあるかもしれませんが、アマゾン・ジャパンが合同会社を選択した理由は、上記の点から親会社が強力に指図でき自由に経営ができて、かつ内部情報をできるだけ公開したくないが、株式会社と同じく機敏に経営活動ができると判断して選択したのではないでしょうか。また、株式会社の株式は他の形態の会社に比べて高い流動性を持っていますが、何らかの理由で株式が外部に流出した場合に逆に外部介入の危険性も高まることもあり得、あえて日本法人の株式に流動性を持たせる必要もないと判断したのかもしれません。