相続税の物納制度とは
国税は金銭で納付する事が原則ですが、相続税については延納(税金の分割払い。ただし利子がかかる)によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。
ただし物納することのできる財産には「順位」があり、1位の財産を保有していた場合は、2位3位の財産より先に物納にあてなくてはなりません。
物納にあてることのできる財産順位改正
現在の物納にあてることのできる財産順位は、
第1位 不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式等
第2位 非上場株式等
第3位 動産
となっています。平成29年4月1日から、以前は第2位だった上場株式等が第1位に格上げされています。
価格変動リスクを避けるための改正
上場株式等は価格変動リスクが高く、さらに相続の遺産分割協議等が終わるまで、譲渡しにくい実態があります。上場株式等の物納が過去の財産順位第2位であると、相続時から申告期限までの10か月の間に、急激に価格が下がった場合、納税資金が確保できなくなる上に、不動産等の上位の財産があるため物納にも使用不可、という事態もありました。
今回の改正によって、上場株式等の物納にあてることができる財産順位が1位となったため、相続時点の時価(または3か月間の平均額)が納める資産の価値としてみなされ、大幅な下落があった場合の救済措置として利用できるのです。
納付を困難とする金額でないと利用不可
ただし、最初に書いた通り「延納でも納付を困難とする金額」がある場合に限り物納制度が利用可能です。納税資金がある場合は活用できない可能性が高いので、ご留意ください。