日本はAIIBの創立メンバーには不参加
日本は中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に創立メンバーへの参加申請(期限:平成27年3月末)を行いませんでした。参加をしない理由については、「ガバナンスが不明瞭である」「米国が参加していない」のほか、「日米はアジア開発銀行(ADB)で主導的な役割にあり、既に投資を行っているから」などが報道されています。
アジア開発銀行(ADB)とは
では、ADBとはどのような銀行なのでしょうか。ADBは、アジア・太平洋地域の経済開発促進を目的とした投融資を行う地域開発銀行で1966年に設立。現在67か国が参加しています。日本は設立当初から最大の出資国であり、歴代総裁もすべて日本人で占められています。
ADBの財源はOCRと特別基金
ADBは通常資本財源(OCR)と特別基金の2つの財源を持っています。OCRは比較的所得が高い開発途上国への投融資業務に利用され、加盟国からの出資金・準備金に加え、民間市場から調達した資金により投融資するもの(準商業的融資)で、特別基金(アジア開発基金など)は低所得国向けに緩和された条件での融資に使用されるもの(譲許的融資)です。というと判りづらいかもしれませんが、ADBのバランスシートがOCRそのものと理解すればよいでしょう。
ADBのBS(2014.6現在:億ドル) | |
融資 532 投資 253 その他 399 |
借入 630 自己資本 175 その他 379 |
この借入はADB債発行(国際市場でもトリプルA格。31通貨建)で調達しています(自己資本の3.6倍)。AIIBは中国が資本の過半を出資するとのことですが、債券発行については、日米が参加しないこともあり、「低格付け」の懸念があるようです。
借入(調達)が難しければ、設立当初は「様子を見る」というスタンスもあり得る訳なのでしょうね。
利子は確定申告が必要です!
このADB債(国内発行)は日本の証券会社を通じて、個人でも購入できますが、注意点が一つあります。債券の利子は一般には源泉分離なのですが、このADB債の利金は源泉徴収がされず、総合課税となり、確定申告が必要となります。