修正申告と期限後申告との比較
自主的修正申告の場合にはもともと過少申告加算税が課せられないのに、期限後申告の無申告加算税や源泉税期限後納付の不納付加算税に救済措置が設けられたのは平成18年でした。
その救済内容は
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付している
(2) その期限後申告を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、無申告加算税の不適用制度の適用を受けていない
このいずれにも該当する場合が適用です。
不適用制度創設の経過
平成18年の救済措置創設に至るまでの事例では、申告期限延長の効果が消費税にも及ぶと誤解して申告書の提出をし損なっていた関西電力の12億円余の無申告加算税賦課決定事件や、宅配便での申告書提出で到着が業者の都合で申告期限後になってしまったケースなどがあり、当事者としては無申告の意識のない事務的なミスで、それらへの配慮のない杓子定規な行政制裁をしたものの、当局としても、適正納税の意欲をそぐとして、その後、制度改正をしたものでした。
不適用制度の適用状況
それから8年が経過していますが、公表された無申告加算税の不適用制度の適用状況を見ると、平成24年7月から翌年6月に終了した事業年度において、法人税の期限内納付済み期限後申告で、2週間以内が72%、1ヶ月以内は92%となっています。期限を2週間から1ヶ月に伸ばせば、無意識の申告漏れへの救済はほぼ、十分でした。
2週間ではまだ不十分
納付があるのに申告がない、というケースでは、多くの場合、税務署から税理士や納税者に問い合わせがあります。
納付状態を税務署が把握するのが2、3週間後なので、親切な問い合わせも、2週間の期限の翌日というケースも多く、また、電子申告が普及するに至り、電子申告し始めの税理士で、法人税の申告をしたのに消費税をし損なった、などの事例もあり、制度趣旨を全うするには2週間では不足です。
それで、今年の税制改正として、無申告加算税の不適用制度における期限後申告書の提出期限が、現行の2週間から1ヶ月に延長されることになりました。