連続テレビ小説「マッサン」が放送開始
NHK連続テレビ小説「マッサン」の放送が始まりました。ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝・リタ夫妻をモデルにしたドラマだそうです。折しも彼らが出会ったスコットランドでは独立住民投票があったばかり。スコッチウイスキーにもイングランド(大英帝国)とスコットランドの間の税金をめぐるお話があります。
ウイスキーが琥珀色なのは税金のお蔭?
スコッチウイスキーは、簡単にいうと「モルトウイスキー」(大麦麦芽を原料とした単式蒸留)と「グレーンウイスキー」(トウモロコシと大麦麦芽を5:1で配合した連続式蒸留)に分かれ、両者を混ぜたものが「ブレンデッドウイスキー」と呼ばれます。これらのお酒の成立経緯について、青年漫画誌で連載されていた「バーテンダー」(集英社)で面白く描かれています。
スコットランドは1707年に大英帝国に併合されますが、英国はスコットランド蒸留業者に重い麦芽税を課しました。これを逃れるため、蒸留業者は山間部に逃れて密造し、これをシェリー樽に隠したそうです。(ボウモア、アードベッグ、ラガブーリン、ラフロイグを輩出した代表的な生産地のアイラ島など、まさにそんな感じですね)。このことにより、当時まで透明であったウイスキーは、樽の中で熟成させるため、樽の香りと琥珀の色合いを得ることになります。
一方で、モルト(麦芽)に対して、トウモロコシなどのグレーン(穀物)を用いる安いウイスキーが作られるようになりました。これが「グレーンウイスキー」です。
「ブレンディド」の登場で大衆化
密造された「モルトウイスキー」に人気が出始めると英国は「モルトウイスキー」への麦芽税を一層重くしていきます。これに対して、スコットランドの人々は麦芽の使用量を減らし、「グレーンウイスキー」を作って抵抗していましたが、この「モルト」と「グレーン」を混ぜることで、癖の強いモルトの味を飲みやすくした「ブレンデッドウイスキー」が生まれました。
重い税金から逃れるという現実的な理由があったとはいえ、この「ブレンデッドウイスキー」の登場により、スコットランドという「一地方の地酒」に過ぎなかったウイスキーが世界中にファンをもつお酒になったということのようです。