まだ一般的になっているとまでは言えませんが、社内で地位の上下関係にとらわれず、率直自由なコミュニケーションを促進し、フランクな組織風土をつくりたいと、社内役職名称を廃止し、トップから一般社員まで、お互いを「○○さん」と呼び合う制度を導入する企業が増えています。
役職名称の廃止とは
企業内階層を表す社長、部長、課長、係長といった役職呼称を廃止し、「○○さん」という呼び方に統一したり、マネジメントの必要性から「○○マネージャー」という呼び方に統一することが多いようです。
ただし、業務上の役割・責任・困難度に応じた賃金その他の処遇の必要性は残りますから、適切な社内等級制度の維持と運用は欠かせず、継続すべきことは言うまでもありません。
また、社内では「○○さん」と呼び合っても、対外的な儀礼や習慣、営業上の責任・権限を示す必要性などから、社長・部長・課長といった外部での呼称、名刺などの表示は継続する場合が多いと言えます。
社内役職名称廃止の効果
社内役職名称を廃止する効果は次の通りです。
- 社内のヒエラルキー(階層)意識が減少し、地位の違いを意識した必要以上の権威の誇示や遠慮が減って、業務上の率直、自由なコミュニケーションが促進され、いわゆる世代間などのコミュニケーションギャップも解消される。
- 従来の管理者の権威主義的な意識が是正され、業務上の問題解決が事実に基づき、衆知を集めて行なわれるようになり、的確性が高まる。
トップの留意点
このような社内役職名称の廃止を決定したからと言って、コミュニケーションギャップが簡単になくなるわけではなく、業務上の問題解決には、その基本として現地・現物・現実に基づいた的確な状況判断を徹底すること、その上に立った解決策について、社内で率直、自由なコミュニケーションが行なわれること、が現実化・習慣化してこそ、この施策の真の効果が現われることを意識して取り組みたいものです。