免税→課税のときの棚卸資産
免税事業者が新たに課税事業者となる場合で、免税事業者期間の末日において所有する棚卸資産のうちに、免税事業者期間中に仕入れた棚卸資産がある場合には、その棚卸資産に係る消費税額を課税事業者になった期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入等の税額とみなして仕入税額控除の対象とします。
税抜仕訳の場合には、仮払消費税を認識して、棚卸資産の価額を減額しておきます。
免税→課税のときの仕入値引返品等
免税事業者期間中の仕入れについて、課税事業者になってから仕入値引割戻があった場合には、その対価の額の中に消費税額は含まれていない扱いなので「課税対象外」取引にしなければなりません。
ところが、免税事業者期間中の仕入に係る商品等で課税事業者になった最初の期首に有していたものを、その後仕入返品する場合には、前記のような期首棚卸資産の税抜処理との関係から、その取引はマイナスの「課税仕入」取引とします。
免税→課税のときの売上値引返品等
免税事業者期間中の売上について課税事業者になってから売上値引割戻返品があった場合、貸倒れが生じた場合、消却債権取立益を得た場合には、その対価の額の中に消費税額は含まれていない扱いなので「課税対象外」取引にしなければなりません。
なお、免税事業者期間中の売上に係る売上返品により増加した棚卸資産については、税抜きが要求される期首棚卸資産とは無関係なので、売上値引割戻等と同じく、その対価の額の中に消費税額は含まれていないものとして「課税対象外」取引にします。
仕入返品と売上返品との相違点です。
売上戻り商品を売上げると
免税事業者期間の商品仕入105億円、売上210億円、期末棚卸なし、次の期に課税事業者になってから、全売上が返品となったものの、まもなく、同額で同じく売上が実現した、とします。
それだけの取引しかなかったとすると、
当期売上 200億円
当期売上戻り 210億円
当期売上原価 0億円 当期利益-10億円
当期課税売上 200億円
当期課税仕入 0億円 納付消費税10億円
このような、不合理な結果になります。税抜きのある仕入戻りにはない不合理です。