課税→免税のときの棚卸資産
課税事業者が新たに免税事業者となる場合で、課税事業者期間の末日において所有する棚卸資産のうちに、課税事業者期間中に仕入れた棚卸資産がある場合には、その棚卸資産に係る消費税額は、その課税事業者期間中の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額には含まれないこととされています。
税抜仕訳の場合には、仮払消費税を消去して期末棚卸資産は税込価額にしておかなければなりません。
課税→免税のときの仕入値引返品等
課税事業者期間中の仕入れについて、免税事業者になってから仕入値引割戻返品があった場合には、その対価の額の中に含まれていた消費税額は認識しないことになっていますので、全て税込価額で処理します。
課税事業者期間中の仕入に係る商品等で免税事業者になった最初の期首に有していたものを、その後仕入返品する場合にも、その対価の額の中に含まれていた消費税額は認識しないことになっています。
前記のような期首棚卸資産を税込価額に処理し直していたことと、つじつまの合う関係になっています。
課税→免税のときの売上値引返品等
課税事業者期間中の売上について免税事業者になってから売上値引割戻返品があった場合、又は貸倒れが生じた場合や消却債権取立益を得た場合にも、その対価の額の中に含まれていた消費税額は認識しないことになっていますので、すべて税込価額で処理します。
なお、課税事業者期間中の売上に係る売上返品により増加した棚卸資産については、税込価額への変更処理が要求される期首棚卸資産と同じく、期末まで在庫品として残った場合には、税込価額で期末棚卸資産の経理処理をすることになります。
売上戻り商品を売上げると
免税→課税の移行期においては、売上戻り品の売上げで、免税事業者期間の消費税額が課税事業者になってから強制的に損金算入され、税込価格仕入額と税抜課税売上額が対応させられる不都合が生じます。
それに対し、課税→免税移行期では、全てが税込取引で例外なく処理されるので、平仄の合わない不都合は生じません。