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悩ましい寄与分の主張

2012年10月15日 | 相続・贈与税

法定相続による「不平等」を正す規定

我が国の相続法では、故人(被相続人)と相続人の身分関係に応じて、法定相続分が固定されます。しかし、例えば、被相続人の事業を無償で継続させた、被相続人に資金援助した、あるいは、長年被相続人を介護し続けた相続人が、何もしなかった相続人と相続分が同じでは、かえって不公平になります。このように、被相続人のために多大な貢献をした相続人を保護する途として、寄与分という制度があります。

寄与分が認められるハードルは高い

寄与分が認められるためには、①寄与行為があったこと、②①が特別であったこと、③被相続人の財産の維持又は増加があったこと、④①と③の間に因果関係があったことが必要です。②は、夫婦間の協力義務、親族間の扶養義務という法律上の義務として社会通念上通常期待される内容を超えた貢献が必要です。更に、③・④で貢献が被相続人の財産に対しプラスの影響をもたらされることが必要です。
そのため、寄与分の主張が認められるためのハードルは高くなります。
こうして認められる寄与分の価額は、①具体的な金額、あるいは、②遺産全体に対する○%という形で評価されます。そして、寄与分のある相続人は、まず寄与分の価額分を取得し、次いで遺産から寄与分の価額を差し引いた金額に対する相続割合に相当する金額を取得することになります。

寄与分の問題点

しかし、寄与分はその漠然とした内容から極めて見通しの悪い制度です。何をもって「特別な」貢献なのか、何をもって被相続人の財産の増加又は維持と見るのかはケースバイケースとしか言えません。また、寄与分が認められても、その価額をどう算定していくのかも不明確です。そして、寄与分の主張は、相続人の人格や一族の歴史に関わるものでもあるため、感情面での対立もより先鋭化されます。このように、様々な意味で揉めやすい争点と言えます。

結局は生前対策

結局のところ、被相続人への貢献を相続を通じて報いてもらうには、遺言や生前贈与をしてもらうのがより確実な手だてとなります。

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