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戸籍の附票と精算課税

2015年2月11日 | 相続・贈与税

居住及移転ノ自由

日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移転ノ自由ヲ有ス。これは明治憲法第22条です。何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
これは、現日本国憲法の第22条です。
封建制下では、特に農民には、居住地を選ぶ自由はありませんでしたが、近代社会の形成と発展には、人的資源の自由な移動が不可欠の要素であるため、明治維新後の必要な新制度となりました。

戸籍の附票は戦後から

新国家体制の基礎作りとして戸籍制度が始まりましたが、当初は、本籍地と居住地が異なることはほとんどなく、戸籍とは別な住民管理帳簿は必要ありませんでした。
しかし、明治中期以降、本籍地と異なる場所での就業者が急速に増えたため、本籍地=居住地(住所)としていた制度が機能しづらくなりました。
そのため、1914年(大正3年)に寄留法が制定され、寄留簿によって本籍地以外で生活する者の把握を行うこととしました。
戦後、1951年(昭和26年)に施行された住民登録法により、住所の把握は住民票によることになり、住民登録法の中で寄留簿の後を継ぐものとして戸籍の附票の規定が制定され、寄留法が廃止されました。

寄留簿と戸籍の附票

寄留簿が本籍地を離れて生活する者のみを記録したのに対し、戸籍の附票は戸籍に入っている者全てを記録しており、住民票の記録の正確性を維持するためのものとして位置づけられています。
1967年(昭和42年)には住民登録法が廃止され、住所に関する記録は現在の法律である住民基本台帳法に引き継がれましたが、戸籍の附票の位置づけに変更はありませんでした。

相続時精算課税と戸籍の附票

相続時精算課税は他の税制と比べて戸籍の附票への執着が特に強い印象を受けます。
相続時精算課税は、選択の撤回を不可としており、一度始めると生涯続けなければならず、戸籍の附表で住所の変遷を把握し、各住所地所轄の税務署への贈与税の申告事跡を捕捉する必要があるからです。
それならば、精算時の相続税の申告書の添付資料とするだけでよさそうですが、なぜか、制度選択時に適用条件である届出書提出の必須添付書類にしています。

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