今年から新たに事業を始めた方は青色申告制度を利用されたほうが有利ですよ!
青色申告制度とは?
日本の税制度は、自主申告納税制度を建前としています。すなわち自分で自分の納める税金を計算し自分で申告する制度です。これは国が税制を押し進めていく上で大変有効な手段ですが、一方で税金を計算する上では税額を調整できてしまうという欠点を持っています。そこで欠点を補うためにチェックする制度が必要であり、その制度を国民全体に習慣として浸透させる必要があります。
浸透させるために青色申告特別控除等の特典を設け、国民に一定のルールに基づき正しく記帳することを奨励し、特典の1つである青色申告特別控除として10万円または65万円の特別控除を認めるというものです。
申請してみましょう!
青色申告は 不動産所得、事業所得、山林所得 のみにその適用が認められています。これらの所得を有する人は税務署で「青色申告の承認申請書」をいう用紙に必要事項を記入し提出します。
新たに青色申告をする人はその年の3月15日までに申請書を所轄の税務署に提出します。その年の1月16日以後に新たに開業した人は、開業の日から2ヶ月以内に申請すればよいことになっています。
※承認は一度でよく,毎年する必要はありません。
特典を受けるにあったての一定のルール(3つの義務)とは?
- 帳簿書類の備付け(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、総勘定元帳等)
- 帳簿書類への取引の記録(複式簿記によるもの)
- 帳簿書類の保存(通常7年間保存、5年間保存の書類もあります)
要するにちゃんと帳簿をつければ良いということです。
青色申告の特典とは?
1. 純損失の繰越と繰戻しができる
事業所得などが赤字になり、純損失が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって、各年分の所得から差し引くことができます。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて損失額を前年の所得から差し引き、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
2. 専従者給与を経費に算入できる
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費として認められます。
但し、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんので、要注意です。
※青色事業専従者給与に関する届出の必要があります。
3. 青色申告特別控除がある
不動産所得又は事業所得の青色申告者の場合、貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、所得金額から65万円の青色申告特別控除が認められます。
(より簡易な記録の方法により記帳している場合は10万円;貸借対照表を添付しなくともいいことになっています。総勘定元帳もいりません。)
さあ、申請書を提出した方は今から記帳をはじめましょう!
※確定申告の期限を過ぎて申告した場合は、せっかくルールに基づいて帳簿を作っても原則として青色申告特別控除が10万円になってしまいます。
(日野哲仁)