消費税10%はアベノミクスの正念場
2015年10月からの消費税10%への増税に向けた補正予算その他の経済財政政策を準備しようとしています。10%化ができないとアベノミクス失敗の印象はぬぐえないし、10%化はデフレの深化をもたらしかねず、正念場になっています。
軽減税率導入が切り札か
そこで、消費の腰折れを防ぐための軽減税率の採用が本格的に検討され始めています。しかし、複数税率化は、分類消費税化であり、食料品その他の生活必需品は低税率に、贅沢品・嗜好品は高税率に、ということになり、将来的に政策圧力で制度がどんどん細分化複雑化することになります。
経済界・税理士会の反応
経団連等9団体が最近、複数税率は逆進性対策としては非効率である一方、大幅な税収減を招き、社会保障制度の持続可能性を損なう、と声明を出しています。
税理士会も同趣旨で以前から一貫して複数税率化に反対しています。特に、インボイス化での税額積算方式は事務処理負担を大きくするとともに、免税事業者等の取引からの排除をもたらし競争中立性を阻害する、と指摘しています。
税理士の場合、消費税の処理作業が著しい事務負担増・リスク増になったとしても、それに見合う報酬の増加を見込めないので、複数税率化に対しては、大勢は反対です。
単数税率・食料品非課税では?
複数税率化は税の執行に複雑化・困難化をもたらすのに比し、税収は限定的となるので、国税当局としてはできれば避けたいところだと思います。
それで折衷案として考えられるのは、単数税率のままの10%化と食料品非課税です。
なぜ非課税が折衷案か?
食料品を非課税にするとします。
①消費税10%、食料品は非課税で、食料品の小売業者の課税仕入原価が8割とすると、国の消費税収入はゼロではなく、既に事業者が流通前段階で最終食料品価格の8%相当分を納付しているので、実質の据え置き税率となります。
②消費税非課税は、消費者に有利に見えて印象がよいので、歓迎されます。事業者には不都合です。それ故、非課税枠を増やせとの政策圧力がかかることはありません。
③事務処理の複雑化や税収減はある程度避けられないが、この案を想定した反対意見は、まだほとんど出されていません。