本来の相続財産とみなし相続財産
死亡した者に係る給与等で未支給のものは本来の相続財産として相続税が課され、被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金等は、みなし相続財産として相続税が課されます。
なお、相続により取得するものについては所得税を課さないと法律は規定し、相続税の課されるものについては、所得税の課税をしない、と二重課税の回避の趣旨が通達で明示されています。
また、別の通達では、相続税の課されない死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等については、一時所得として所得税を課すとしています。
相続不課税で一時所得となるもの
被相続人の死亡後3年を超えて支給額が確定した退職手当金等は、みなし相続財産の規定外になるので、相続税課税対象外になるとともに、その支給を受けるものの直接の所得となり、一時所得に分類されて、課税されます。
また、年金を受給していた者が死亡し、その死亡時点で未支給となっていた1~2ヶ月分の年金が、請求によって配偶者等の指定した口座に振り込まれた場合、これも、受給した配偶者等の一時所得となります。
この未支給年金請求権については、遺族が自己の固有の権利として請求するものであることが、国民年金法・厚生年金法に明記されており、かつ、相続財産とみなすとの規定がないので、相続税の課税対象にはなりません。
歯科医師会の死亡共済金も
昨年、平成25年12月12日に、歯科医師会共済制度に基づく死亡共済金は相続財産ではなく、遺族の一時所得に該当するとの判決がありました。
この共済金の受給権は、死亡した会員が指定していた者(指定した者がいない場合は法定相続人)にあり、被相続人の財産としての本来の相続財産ではありません。また、みなし相続財産にも該当しません。
ちなみに、この共済掛金の性質は、中途返戻金のないいわゆる掛け捨てであり、火災や重度の障害に対しても共済金が支払われることになっており、掛金の内、死亡共済金の原資として積み立てられる直接の個別対応関係がないので、一時所得の収入金額から控除する額はゼロとされています。