「介護休暇」と「介護休業」
要介護状態の家族を介護するために休みを取得できる、労働者が仕事と介護を両立させるための制度に、「介護休暇」と「介護休業」があります。
「介護休暇」は要介護状態の家族を介護する、雇用期間が6か月以上の全従業員が、対象家族1人の場合1年度に5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)取得できます。短期休暇なので、突発的な用事や短時間の用事に使うことになります。
一方の「介護休業」は、介護の態勢を整える等、より長期の休みが必要な場合に使えます。同一の事業主に1年以上雇用されている全従業員が、要介護状態の対象家族を介護するため93日まで休暇取得できます。3回まで分割可能です。ただし、介護休業予定日から起算して93日を経過後、6か月以内に労働契約期間が満了する場合は取得対象外となります。
93日では足りない!?
長期の休みと言っても、家族の介護は一度始まったらいつまで続くか分からないものです。介護休業期間が通算93日までというのは、短すぎるのではと感じますね。
同じ育児介護休業法に定められている育児休業は、原則、子が1歳に達するまで取得ができるのに対し、介護休業はなぜ3か月程度しか認められないのでしょうか。
その理由は、育児休業は本人が育児をするための休業ですが、介護休業は本人が介護をすること以外に別の目的があります。
それは、本人が直接介護するためだけではなく、介護が必要な家族に対し、ケアマネージャーに要介護認定をしてもらったり、在宅で介護するのか、それとも介護施設に入居するのかをはじめ、介護サービスを選定したりといった、いわば介護に関する長期的方針を決めるための計画と事務手続期間と位置付けられているためです。
それによって、当面家族による介護がやむを得ない期間について、緊急的対応措置として休業ができ、その後は本人がつきっきりでなくても、働きながら介護ができるような態勢を整えることを想定しています。
法律の趣旨としては、休業中だけでなく、休業後に「介護と仕事の両立」をさせることを重視していると言えますね。