H27.1.1以後の「小規模宅地等の減額」
平成27年1月1日以後に開始する相続に係る相続税について適用される基礎控除額の引下げ・税率構造の見直しによる税負担の増加を緩和するため、次の「小規模宅地等の減額」の改正が行われております。
- 特定居住用宅地等の限度面積の拡大
- 特定事業用等宅地等と特定居住用宅地等の完全併用
特定居住用宅地等は限度面積330㎡に拡大
特定居住用宅地等の限度面積が240㎡から330㎡に拡大されました。これは大都市圏における「特定居住用宅地等」を適用している事案の平均値が約360㎡であることなど居住用宅地の実情に合わせた改正です。
「特定事業用等」「特定居住用」の完全併用
小規模宅地等の減額を受けようとする宅地等が複数ある場合には、「特定事業用等宅地等」(特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等)、「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」の限度面積を全体で調整する規定が設けられています。
今回の改正後も次の算式により減額の適用ができる限度面積が調整されます(これを「限定併用」といいます)。
算式
+特定居住用宅地等の面積×200/300
+貸付事業用宅地等の面積≦200㎡
今回の改正では、この算式によらず、「特定事業用等宅地等」と「特定居住用宅地等」のみである場合には「完全併用」できるという制度が設けられました。つまり、「特定事業用等」400㎡と「特定居住用」330㎡を合わせて730㎡まで制限なく適用できることになります。
小規模宅地等の「選択」が変わってくる
「限定併用」の考え方では、減額金額が最大となる選択をする場合には、次の算式による「1㎡当たりの減額金額」を比較して大きなものから選ぶことになります。
- 「特定事業用等」1㎡単価×80%×400/200
- 「特定居住用」 1㎡単価×80%×330/200
- 「貸付事業用」 1㎡単価×50%
ただ「完全併用」が導入されたことにより、1㎡の減額が大きな「貸付事業用宅地等」をあえて選択せず、「完全併用」を用いた方が有利なケースも出てきました。今後は「限定併用」「完全併用」の両者を計算して比較し検討する場面も出てきそうです。