毎年、年末が近づくと頭を悩ます年末調整。
さて、いつ頃から始まったのでしょうか?
年末調整はいつから始まった?
明治20年の所得税導入。
それまでの日本は、ほとんどが農家で、江戸時代の年貢を少し変形した地租が中心で、現在の固定資産税に近いものでした。
しかし、広大な土地を所有している農家と、土地をほとんど所有せず商売で大儲けをしている商工業者等との間で著しく税の不均衡が生じていました。
そこで明治20年、その欠陥を補う税金として所得税が導入されました。当時、所得税が課税される対象収入は、現在とほとんど同じでした。
昭和になると戦争の為の財源不足から増税が続き、不足する戦費を安定的に調達するために、昭和15年所得税の大改正を行い、膨大な戦費を確保しなければならないため、所得税を前取りする方法をいくつか考え出したのです。
そのひとつが給与所得者に対して、会社が毎月の給与から直接税金を徴収する「源泉徴収制度」の導入です。
会社が給与から徴収した所得税額は、現在と同じように翌月10日までに納付することとなっており、国は前倒しで毎月所得税収入を確保できることになりました。
基礎控除や扶養控除といった所得控除は、月々の徴収の際に考慮され、変更があった場合には本人が直接税務署に申請書を提出して精算することとなっていました。
その為、会社が年末に税金を精算する必要がなく、「年末調整」はまだ存在しませんでした。
なお、この当時の租税収入に占める所得税の割合は、実に35%になっていました。
終戦後の昭和22年、税務署職員の不足などから給与所得者については、源泉徴収だけでなく、会社が年末に扶養親族などの所得控除を計算して、税額の精算手続きまで行うことが決定されました。
これが、現在の年末調整の始まりです。
担当 日野