扶養控除の適用要件
扶養控除の適用要件は、①配偶者を除く年齢16歳以上の親族(法令の規定に基づく児童等も含む)、②親族の年間の合計所得金額38万円以下、そして、③納税者と同じ家計で生活する、の3つです。
この3つの要件ですが、納税者の自己申告であり、適用にあたっては、特にその事実を証明すべき書類、例えば、親族であることを証明する戸籍謄本等、所得を証明する源泉徴収票等、そして、同居以外の場合、同一家計での生活を証明するための、送金の事実を証明する書類等の提出は不要となっています。
国外居住者の扶養親族
扶養控除の適用可否について、対象となる親族が国内に居住していれば、上記の3要件を確認することはそう難しくありませんが、対象親族が国外に居住しているとなると、その確認は容易ではありません。
要件の1つである、合計所得金額38万円以下の判定に関しては、その親族が我が国で得た所得、すなわち国内源泉所得だけで判定しますので、その把握はそう困難ではありません。
しかし、親族の証明、親族への生活費の送金事実の証明となるとなかなか厄介です。
国際結婚で国外に親族がいるようになった場合、我が国のように戸籍制度が確立していれば、親族であることを証明すべき公文書のような書類の提出を求めることもできますが、制度が整備されていないとすると、その信用性が担保できません。
また、同じ家計で生活していることの証明ですが、生活費の海外送金などの明細書等があれば問題ないのですが、現地で直接現金で渡した場合などは、その事実を客観的に証明することは困難です。
平成27年度の税制改正の行方
外国人と結婚した日本人や海外に親族を残して日本で働く外国人の扶養控除の実態を会計検査院が調査したところ、不確かな状況で扶養控除を受けている事実が散見され、中には扶養控除額だけで300万円超受けていた人は140人もいたことが明らかになり、新聞報道でも話題になりました。
そこで、財務省は、平成27年度の税制改正で、その適用を厳格化すべき方針を固めたようです。その内容ですが、親族が確認できる書類や送金明細書の添付の義務化等が挙げられています。