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増えている簿価修正規定

2020年10月1日 | 法人税

寄附の場合の簿価修正

 100%支配関係下のグループ法人税制適用の状態に於いて、子会社同士で寄附が行われた場合、それらの会社の関係が寄附の受取法人・寄附の支払法人いずれにおいても益金不算入・損金不算入です。そして、親会社に於いて、寄附の受取法人の子会社株式の簿価をその受取寄附金の額だけ増額修正し、寄附の支払法人の子会社株式の簿価をその支払寄附金の額だけ減額修正します。

資本剰余金分配の場合の簿価修正

 また、寄附ではなく、子会社から親会社に対して、資本剰余金の分配がある場合には、その資本剰余金の分配の割合相当の株式の発行会社への譲渡があったこととされ、その譲渡とみなされた割合だけ株式の譲渡原価が認識されるので、税務上の株式簿価は減額修正されることになります。
 子会社株式簿価修正は、グループ法人税制で初めて出現したかのように見えますが、資本剰余金の配当の場合を見ると、法人税法の定めとしては、以前から株式簿価の減額修正を規定しており、それに、企業会計基準適用指針でも同じく定めるところでもあったので、この手法が援用されたものと言えそうです。

M&A会社配当の場合の簿価修正

 さらに、子会社株式簿価減額修正の規定は、外国法人や非居住者が関わる会社をM&Aで子会社にした後、その子会社から一定の配当を受けた場合にも、配当益金不算入額相当額の子会社株式の簿価からの控除として、今年新たに立法されています。
 ここでの一定の配当とは、株式簿価の10%を超える年配当で、M&A後の子会社の利益純増額を超え、かつ、2000万円超で、M&A後10年以内に受ける配当を言います。相当に大型の配当が対象です。

回避のための要件の株主名簿

 なお、株式簿価減額修正規定の対象となる子会社は内国法人で、株式の50%超を親会社が保有し、かつ、設立時からM&Aまでの間において外国法人もしくは非居住者の株式保有割合が10%以上だった法人です。
この保有割合10%未満を主張するには、それを証明する書類を保存していることが要件とされていますので、親子関係が10年未満という場合で大型配当する時には、設立時からの株主名簿を揃えて置く必要があります。歴史のある会社の場合は、困難な課題になりそうです。

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