事業主の知っておくと便利なこと(2)
~交際費・広告宣伝費の区分について~
最近、新規顧客獲得のために販売促進目的で商品券やビール券を贈呈している企業が見受けられます。また金券はお中元やお歳暮の贈答用の品など、多目的に使用することができるため、その購入費用は商品券等の内容によって交際費、福利厚生費、広告宣伝費、販売促進費等の費用に区分されます。その中でも、広告宣伝費と交際費は“贈答”という点で似た性質があるため、区分をするのに留意する必要があります。
事例として、新製品を売り込む営業ツールの一つとして使用するため、広告宣伝を目的として商品券やビール券を購入しました。しかし、税務調査により広告宣伝費ではなく交際費に当たるとされました。
なぜ、広告宣伝のための支出なのに、交際費とされてしまったのでしょうか?
広告宣伝費と交際費の区分に関する税務の取扱いの中で、広告宣伝費とは、「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図して支出する費用」がこれに該当するとされています。また、「カレンダー・手帳・扇子・うちわ・手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」で多数の者に配布することを目的としており、主に広告宣伝効果を意図し、価額が小額なものについては交際費ではなく、広告宣伝費の性質があるものと取り扱うことができます。
交際費等とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係する者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」と規定されています。そのため、お中元やお歳暮を贈答するための費用は当然ながら、交際費として取り扱われます。
さてこの事例では、確かに広告宣伝を目的として商品券やビール券を購入しました。しかし、不特定多数の者に対する費用はではないと判断されたため、広告宣伝費ではなく交際費とされてしまったのです。
では、贈答用として支出した費用について交際費にするのであれば、何であれ経費に含めることができるのでしょうか?
税務の取扱いでは「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない」と規定されています。法人が支出した費用を税務上損金とするためには、その支出内容、支出の相手方、支出の時期等が明らかになっていることが必要です。
したがって、たとえ交際費に該当するものであっても、使途を明らかでないものについては、交際費として損金に算入することもできないということになります。
細かいこと・・・・とお思いかもしれませんが、思わぬところに落とし穴があります。ご注意ください。
担当 佐藤