健康診断は使用者の務め
使用者は従業員の健康を確保するため、労働安全衛生法で常時使用労働者の1年以内ごとに1回の健康診断受診義務が定められています。
従業員の健康情報を知り、安全配慮義務を行い健康管理、情報管理することは使用者の務めです。企業と労働者は労働契約を結んでいるので労働できる健康を有しているかを把握しておかなくてはならず、労務提供に関連した健康状態を取得しなくてはなりません。受診の結果の取り扱いは使用者に帰属するとされています。
適切な情報管理
使用者は健康診断の履行を通じて労働者の心身の状態に関する情報を取得・利用・保管することとなります。使用者には労働者の健康確保が求められるものの、当該情報は「要配慮個人情報」にあたります。労働者の個人情報を保護する観点から、現行制度においては使用者が心身の状態の情報を取り扱えるのは労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合の他、労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等です。秘密保持は重要ですがプライバシー問題とは別であり、使用者は個人情報を得るので情報管理をすることが求められ、情報は慎重な取り扱いが求められます。記録は5年間の保存義務があります。
就業規則には健康診断の受診義務が載っていると思いますが、結果が本人にしか届かない場合は受診結果を会社に報告する旨を規定しておくのがよいでしょう。
健診と費用、賃金
健康診断は使用者の義務なので、健康診断に掛かる費用は使用者が負担しなければなりませんが、しかし、健康診断を受診している間の時間に賃金が発生するかは、健康診断の種類によって異なります。
まず、雇用時の健康診断や、定期健康診断は業務に関連して行われるものではないため、支払ってもよいけれど、支払い義務はありません。特定業務に従事する者は業務に関連して行うものであるため、賃金を支払う必要があります。