ミセス・ワタナベとは?
2007年頃から東京のインターバンク市場にて、昼をはさんで午後になると大きな要因はないにもかかわらず、為替相場が反対方向へ振れる現象がしばしば見られ、為替のプロたちが予期せぬ損をさせられました。
こうした状況が頻繁に起こったため、原因を探っていくと、主に日本の主婦やサラリーマンなどの個人のFX投資家が、昼休みを利用して一斉に注文を出していたことが判明しました。一時は為替取引の3割以上を占め、大きな影響力を持ったため、彼女たちの逆張りに、海外にて「ミセス・ワタナベ」という呼び名が生まれました。
取引所と店頭の税制一本化
ミセス・ワタナベに朗報となる外国為替証拠金(FX)の損失繰越・損益通算に関する税制改正が、今年成立しています。
取引所FXは現在、「雑所得・申告分離課税」に分類されており、税率は利益の金額にかかわらず一律20%。損失がある場合は3年にわたり繰越控除ができます。
一方店頭FXは「雑所得・総合課税」とされ、損失は繰り越しできず、税率も住民税と併せた最高50%にも達する累進課税の対象です。
これが、来年1月1日以降取引分から「雑所得・申告分離課税」に統一されることになりました。
税制一本化の範囲はもっと広い
FXと同じく証拠金を預け、レバレッジをかけて取引を行うその他のCFDと呼ばれる株式や株価指数等を対象にする日経平均先物などや、更に金融商品先物取引だけでなく商品先物取引も含め、従来から申告分離の雑所得とされていたものが全て一本化されました。
今年の決済か、来年の決済か?
FX取引では売買を決済した取引だけが、その年の確定申告の対象になります。店頭FX取引を手がけ、損失を抱えてしまっている場合は決済を来年まで先送りした方が有利かもしれませんし、雑所得の年金所得と相殺するなら今年中の決済が必要です。
「含み益」が大きい場合は、課税額の試算が必要です。課税所得が330万円以下なら年内に決済した方が納税額は少なくて済みます。