「車両運搬具」と「機械装置」の区分
税務における「車両及び運搬具」とは、自走能力の有無を問わず、人や物の運搬を主目的とするものをいいます。具体的には、乗用車、貨物自動車、フォークリフト、電車及び自転車が該当します。
これに対して、作業場において作業することを目的とするもの―例えば、ブルドーザー、パワーショベルなど―は、「自走用作業機械装置」として、税務上「機械及び装置」に区分されます。
機械装置に「単に車輪が付いている」という認識なのでしょうね。
このように「運搬目的」と「作業目的」という一応の基準がありますが、実際のところ、判断が難しい場面が多々あります。
これらの区分が異なると、その資産の耐用年数の判定や特別償却の可否に影響を与えることになり悩ましい問題です。
レントゲン車は車両か?機械装置か?
医療法人・個人診療所が医療機器を取得した場合には、法人税・所得税の特別償却や税額控除の優遇制度があります。
「医療用機械及び装置」と「器具及び備品」のうち、①高度医療・先進医療に資する一定のもの、②医療の安全確保に資する一定のものが、その対象資産となります。
ここで、よく税務調査で問題とされるのが「レントゲン車」の取扱いです。
「放射線関連装置及び付属品」は、この優遇措置を受けることができる医療用機械に該当するものとされています。「自走用作業機械装置」の考え方に当てはめれば、「レントゲン車」も「診療目的」の車両ですので、「医療用機械」として特別償却を受けることができるように思えます。
ところが、過去に国税庁が日本医療法人協会に示した「医療用機械等に該当しないもの」の一覧表に、車両運搬具として「レントゲン車」が掲載されているのです。
カーナビと同じ扱いなのでしょうか?
確かに「車両及び運搬具」の耐用年数表を見ると、「レントゲン車」は、消防車・救急車・防水車とともに「特殊自動車(5年)」と特掲されています。
あくまでも「車両及び運搬具」であるため、特別償却の対象外であるということのようですが、これではレントゲン車に搭載されたエックス線装置がカーナビと同じ扱いということになってしまいますね。