「たま駅長」社葬に3,000人参列
平成27年6月28日、和歌山電鉄・貴志駅の駅長待遇であった三毛猫の「たま」の社葬が、同駅コンコースで行われました。新聞報道では、最後の別れを告げようと3,000人の方が参列なさったそうです。
「たま」は、もともとは同駅の売店の飼い猫。駅の利用者に大変親しまれていましたが、貴志川線が南海電鉄から和歌山電鉄に引き継がれることになり、居場所がなくなりそうになりました。相談を受けた社長の発案で、「たま」は駅長に任命され、引き続き、駅で飼われることとなったそうです。
ところが、これがネットなどで話題となり、集客に大いに貢献。「たま電車」や「たまバス」を走らせる事態になりました。
「たま」の社葬費用は損金になるのか?
「たま」の葬儀は、コンコース外に大型モニターを設置、祭壇に遺影が飾られ、駅近くの神社の神事が執り行われたそうです。
そんな話を聞くと職業柄、「この社葬費用は、税務上損金に落ちるかしら…」と野暮な心配をしていまいます。
法人税基本通達には「社葬費用」について、①法人の役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、②その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その社葬費用のうち通常要すると認められる部分は、その支出日の属する事業年度の損金算入を認めるとしています。これは「社葬費用」を「福利厚生費」として損金を認めるという通達ですので、人間ではない「たま駅長」には、ちょっとハードルが高そうです。
一方、これを「記念式典」の類と見れば、「交際費」とも考えられますが、3,000人も参列されたとすると、もはや、会社の取引先などの事業関係者に限定されたものでなく、「一般の鉄道利用者」を巻き込んだイベントとも言えます。その方向で損金となるよう考えていくしかなさそうですね。
ペット葬式を挙げる側は「収益事業」!?
お葬式の神事を行う宗教法人サイドでは、ペットの葬式が収益事業に当たるか否か真面目に裁判で争われた事例があります(平成17年「ペット葬儀料事件」)。この裁判では、パンフレット等の料金表に基づき役務提供の対価として支払われ、宗教法人以外の民間ペット葬儀社が行う事業と変わらないという事情の下では、法人税に規定する収益事業に当たるとされました。