保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳
万が一あなたの会社が火事にあい,その保険金で元のように修復して,さぁ心機一転仕事を始めようと思ったとき,その保険金から被害を受けた資産の価値の差額が実は会社にとって収入となってしまい,決算のときにその分の税金を納めなければなりません。
実際にその保険金から税金を納めてしまうと残りのお金で修復や建て直しをしなければならず元の状態に戻すのには資金が不足してしまいます。これではせっかく万が一のために備えた保険の意味が薄らいでしまいます。
そこで,その保険金を受けた事業年度の納税額を少なくすることができます。それが圧縮記帳です。
具体的には新しい建物等の取得価格のうち一部をその事業年度の経費として振り替えることができ,その分だけ利益を減らすことができます。資産の取得価格を少なく縮める=圧縮するということから圧縮記帳と言われます。
しかし、この圧縮記帳は納める税額が少なくなるのではなく、単に今期の税金を翌期以降に先延ばしにする効果しかありません。それは建物等の固定資産の取得価格を圧縮してしまったので,毎期経費として計上される減価償却費もまた少なくなってしまい翌期以降はその分利益が増えることとなります。トータルでの経費の額は変わりません。
すなわち,圧縮記帳はあくまでも政策的な配慮であり節税手段ではないということがいえます。しかし災害からの復旧での資金繰りの面や毎期納税額の平準化などからも利用価値は大きいといえます。
担当 佐藤,近藤