口蹄疫の被害が続く宮崎県に「ふるさと納税」制度に基づく寄付の申し出や、義援金の問い合わせが相次いでいるそうです。
ふるさと納税による寄付は、確定申告をすることにより所得税・住民税から寄付金控除を受けることができます。義援金も法人税及び所得税の優遇措置を受けることができます。
1.義援金
「宮崎県口蹄疫被害義援金」の配分は、県その他の関係機関で構成される義援金配分委員会で決定し、市町村を経由して口蹄疫により被害を受けた畜産農家に配分されます。実施主体は宮崎県、社会福祉法人宮崎県共同募金会で、ゆうちょ銀行その他の金融機関への振込または現金書留で寄付をすることができます。
募集期間は平成22年5月14日から7月30日までですが、5月27日現在で477,105,204円の寄付が集まっているそうです。同県を練習拠点とする女子プロゴルフの横峰さくら選手も1200万円の寄付を表明するなど、支援の輪が広がっています。
2.ふるさと納税
ふるさと納税は、平成20年度から始まった制度で、自治体に寄付する額に応じて所得税や住民税が減税されます。寄付先は出身地や居住地に限りません。
「ふるさと宮崎応援寄付金」は宮崎県をふるさとと考える人が寄付を通じて県が行っている様々な施策を応援するものです。寄付金の使い途として希望する施策を選んで申し込むことができます。選択肢を選ばず「口蹄疫の対策に使って」と書いて申し込みする人も増えているそうです。昨年度のふるさと納税は16件398万円でしたが、今年は5月24日までに3400人が納税を申し込み、昨年1年間の約6.7倍の2670万円が納められているといいます。
1件5000円から寄付ができ、申し込みは、インターネットによる電子申請の他、郵便、FAXで行うことができます。納付方法は(1)クレジットカードによる寄付(2)口座振替による寄付(3)納付書による寄付が選べます。
ふるさと宮崎応援サイト
3.寄付金控除
最後に、気になる寄付金控除についてですが、税法の規定に基づき以下の寄付金控除の優遇税制を受けることができます。宮崎県から発行される領収書を添付し確定申告を行います。
所得税
- 寄付金額 -2千円 = 寄付金控除額(所得控除)
※対象となる寄付金額は、総所得金額等の40%が上限
※平成22年分の所得税から、寄付金控除の適用下限が2千円(改正前5千円)に引き下げられています。
寄付金控除額は、所得から差し引かれる金額(所得控除)となります。
住民税
- (1)+(2)=寄付金控除額(税額控除)
※対象となる寄付金額は、地方公共団体に対する寄付金以外の寄付金と合わせて総所得金額等の30%が上限 - (1)(寄付金額-5千円)×10%
- (2)(寄付金額-5千円)×(90%-0~40%(所得税の限界税率))
※個人住民税所得割の額の1割が上限
寄付金控除額は、税額から差し引かれる金額(税額控除)となります。
例えば、税率5%の人が10000円をふるさと納税によって寄付した場合は、
- 所得税(10000円-2000円)=8000円
- 住民税(1)+(2)=4750円
- (1)(10000円-5000円)×10%=500円
- (2) (10000円-5000円)×(90%-5%)=4250円
所得税からは8,000円が所得控除となり、住民税からは4,750円が税額控除となります。
なお、現時点では義援金による寄付の場合、個人住民税からの控除はありませんので、ご注意ください。また、上記は個人の場合ですが、法人がふるさと納税や義援金を支払った場合、法人税における損金算入額は、支出した額の全額となります。
寄付をするとその上に所得控除などのおまけがついてくると思えば、皆さんも寄付をしてみたくなりませんか。
担当 井上