Jリーグ発足20周年
Jリーグが今年で20周年だそうです。
ホームタウン制度など「地域密着」を理念に掲げ、放映権・グッズ販売・スポンサーシップを一元管理し、各クラブの分配する「リーグ配分金」制度、スポーツ振興くじ(toto)導入など様々な経営努力を重ね、既存の企業色・興業色の濃かったプロスポーツのビジネス手法に変わる進取的な経営の先駆として評価されるべきだと思います。
特に発足当初の「財源づくり」、スポンサーとの関係構築や調整は並大抵のことではなかったものと推察します。
この辺りの事情は、元チェアマンの川淵三郎さんの手記「虹を掴む」(講談社)に詳しく記されています。
プロ野球と広告宣伝~昭29.8.10通達
プロ野球球団の親会社が子会社である球団に支出した金銭等(球団の赤字補填のために支出を含む)については、広告宣伝費として取扱うという有名な通達があります(昭29.8.10直法1-147)。この通達が発遺された頃のプロ野球球団も2リーグ分裂後で経営が厳しく、映画会社や鉄道会社からの陳情を受けてのものだそうです。
昭29.8.10通達はJリーグでも可?
この通達がJリーグにも適用できるか―このやり取りが川淵さんの「虹を掴む」に記されています(p175~176)。読売グループの渡邉さんはプロ野球団を所有していることもあり「社名をチーム名に入れなければこの通達は適用できない」と主張します。ただ、これはJリーグの理念に反すること。川淵さんは国税に相談したそうです。そのやり取りの中で「ユニフォームの中に社名やマークが入っていれば良い」との言質を取ってきます(確かに、現在のJリーグのユニフォームには社名やマークが入っております)。 ところが、今度はスポンサーであるトヨタや住金が「そんな狭い了見でやっていない」「メセナ目的だから社名を入れたくない」と言い出す始末。こちらも川淵さんが「お願いだから小さく入れてくれ」と頼み込んだそうです。
現在ならば、「事前照会に係る文書回答手続」などで公になっていそうな話ですね。