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免税事業者が課税事業者となる訳

2021年5月25日 | 消費税

インボイス制度で免税事業者が課税事業者に誘導される理由を消費税の制度面から考えてみます。

消費税の仕組み

消費税は、事業者が国内で行った課税資産の譲渡、貸付、役務の提供(課税資産の譲渡等)について課され、事業者は売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額(資産の取得に係る消費税を含む)を控除し、差額を納付する(還付を受ける)制度です。
消費税制度は、消費に広く公平に課税すること、簡素でわかりやすく、事務負担が軽減されるよう配慮されています。それぞれ取引の前段階で課税された仕入税額を控除することにより、税の累積がされないよう設計されています。

事務負担への配慮と帳簿方式の課題

事業者の事務負担の軽減措置は、小規模事業者の免税点制度、帳簿方式の税額控除制度、簡易課税制度の3つです。
免税事業者は、売上に係る消費税の納税義務が免除されますが、仕入れに係る消費税額の控除も認められません。帳簿方式では、事業者は帳簿の記帳内容から売上に係る税額と仕入控除税額を計算することができ、また簡易課税制度を選択し、みなし仕入率を使用して簡易な計算もできます。
一方、現状の帳簿方式には課題もあります。課税事業者は、仕入先が課税事業者か免税事業者かを判断できないため、仕入先が免税事業者であっても仕入税額控除が認められます。仕入先では請求した消費税は益税になります。また簡易課税制度でも、みなし仕入率の適用により益税が生じることがあります。益税は支払側の不信感を生みます。そのほか帳簿の正確性が担保されなければ、誤りや課税漏れも生じます。

免税点制度を閉ざすインボイス制度

令和5年10月から課税事業者は、インボイスを介して消費税を授受します。インボイス保存が仕入税額控除の要件となり、インボイスを交付できない免税事業者は取引先からはずされていくことでしょう。
免税点制度でこれまで守られてきた負担軽減措置は、インボイス制度のもとで実質閉ざされることになります。免税事業者の多くは、課税事業者となったうえでインボイス登録事業者を選択し、併せて事務負担が少なく、益税の余地が残される簡易課税制度を選択することになるでしょう。そのほか、電子インボイスによる事務負担の軽減も期待されます。

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