受取配当金益金不算入の趣旨
言うまでもありませんが、法人税法では、原則、二重課税を排除する目的で、受取配当金の全部又は一部を益金不算入としています(外国法人、公益法人等及び適格現物分配に係るものは除く)。これは、配当金は課税済み後の所得から支払われるものであり、一方、これを受領した側にも課税するとなると同一の所得に対して二重に課税することになるからです。
配当金益金不算入の割合は、株式等の区分によって異なります。①完全子会社株式等の配当は100%、②関係法人株式等の配当は「配当金-負債利子」×100%、③①及び②以外の株式等の配当は「配当金-負債利子」×50%です。なお、短期所有株式に係る配当には、この益金不算入の適用はありません。
関係法人株式等の配当とは
益金不算入の適用を受けるためには、配当等の計算期間の全期間を通じて配当支払い会社の株式を継続して所有していなければならないのか、ですが、必ずしもすべてがそうでありません。
関係法人株式等の配当にあっては、原則(株式移転等による保有は除く)、配当金支払い会社の株式等の25%以上を配当金等の効力発生日以前6ヶ月以上継続して保有していれば、100%の益金不算入の適用を受けることができます。
配当金の効力発生日とは
こ配当金の効力発生日は、一部上場会社を除き株主総会で配当決議する際にその配当金支払いの効力が生ずる日も定めなければならないことになっています。上場会社の多くは、総会での配当決議の翌日となっていますが、その決まりはありません。会社の資金繰り等、さらには、配当金受領会社の当該配当に係る株式が関係会社株式等に該当するよう、その調整をすることもできます。
設例で具体的にみて見ましょう。配当受領会社X社の事業年度は、24年4/1~25年3/31、一方、配当支払い会社Y社の事業年度23年10/1~24年9/30、X社は24年7月1日にY社の株式25%以上を買収、Y社の配当基準日は9月30日で配当決議は12月25日、その効力発生日を翌26日、とすると、当該株式の配当は「関係法人株式等の配当」には該当しません。しかし、効力発生日を翌年25年1月1日以後に定めれば関係法人株式等の配当に該当することになります。買収の際には留意したいものです。