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簿価移転利用の無限節税

2012年5月22日 | 法人税

パチンコグループの新手の節税策

 今年の2月半ばのマスコミ報道によると、パチンコ店をチェーン展開する計約40の企業グループが、組織再編税制を逆手に取って、損失を膨らませる新手の節税策により、総額約1000億円の損失創生プランを実行していたが、東京国税局はこれを、限界を超えた租税回避行為にあたると判断し、行為計算否認規定を発動しました。

節税プランを生み出す無限原理

 記事によると、「バブル崩壊で含み損のある株を子会社に現物出資する手口」とあり、「会社新設や合併を繰り返し」とあります。
例えば、甲社所有の株式Aは、簿価1000万円、含み損900万円、時価100万円だったとして、その株式を出資して、適格組織再編の一種の適格現物出資として、子会社Bを設立したとすると、

甲社仕訳B株式1000万円/A株式1000万円

となります。さらにB株式でC社設立、さらにC株式でD社設立、さらにD株式でE社設立・・・・したとすると、それぞれ

甲社仕訳C株式1000万円/B株式1000万円
甲社仕訳D株式1000万円/C株式1000万円
甲社仕訳E株式1000万円/D株式1000万円

ということになります。それぞれの1000万円の価額には含み損900万円があります。
 その後、各株式につき、価額が回復不能として900万円の評価損を計上すると、各会社に900万円の欠損金が発生します。
 そして、甲社がBからEの各会社を吸収合併すると、甲社の欠損金の総額は、AからEまでの5つの株式の評価損の合計4500万円となります。

無限原理のバリュエーション

 無限原理の要諦は含み損会社のコピーです。含み損会社のコピーは甲社の行為としてのみならず、B社がC社に、C社がD社にと、現物出資による新会社設立し、孫会社、ひ孫会社と作っても同じです。
そして、含み損のある株式は、含み損のある土地であってもよいし、寄附や配当の組み合わせで工夫すれば含み損株式は人為的にも作れそうだし、現物出資は会社分割で代替することもできます。
 また、欠損金の発生は、評価損だけでなく、株式の売却による売却損によっても実現します。
それらの欠損金を、グループ内の黒字会社に合併により取り込むと、無限に租税回避が可能なグループ法人になります。

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