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賃貸不動産の一時的空室

2022年2月8日 | 所得税

相続で賃貸不動産を取得したとき、財産評価で一時的に空室となっている住戸にも評価減を認める取扱いを受けるには、賃貸業務の継続性に加え、空室期間を長期化させないことが必要となります。

賃貸不動産の財産評価

相続や遺贈で財産を取得する場合、財産は時価で評価します。相続財産の時価は、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、通常成立すると認められる価額とされています。
貸家および貸家の敷地の用に供されている貸家建付地は、賃借人が建物を使用することで支配権を有しているため、貸主の側も利用に受忍義務が生じることから評価額が減額されます。反対に賃貸されていない貸室部分は賃借人の権利が存在しないので評価は減額されず、自用地評価となります。

相続財産の一時的空室の扱い

一方、一時的な空室であることが認められれば、例外的に賃貸されているものとして評価の減額が認められる場合もあります。
税務署は、質疑応答事例で相続した時点で空室があった場合、その空室について相続の前後で賃貸が継続され、新たな賃借人の募集が退去後、速やかに行われ、空室期間中、他の用途に供さず、空室期間が課税時期の前後で例えば1か月程度などの要件をみたせば、事実関係を総合判断して例外的に、空室部分も賃貸されているものとして評価減を認めるとしています。
しかし、現実は、空室はすぐに埋まらず、課税実務では、「例えば1か月程度の要件を充たしていない」として自用地評価とされてしまうことが多いのではないでしょうか。

不動産所得における一時的空室との違い

ところで、不動産所得では、空室期間が1か月を超えたとしても、賃貸業務を継続中であれば貸付の用に供されているものとして減価償却費などを経費として算入します。
これは不動産所得が1年間の総収入金額から必要経費の額を控除するフローの金額としてとらえられるのに対し、財産評価は、相続開始時のストックの評価額としてとらえることとの違いによるものと思われます。

空室を早期に埋める実態をつくる

空室を1か月で埋めるのは立地、賃料などでよほど優位な物件でない限り困難ですが、間断のない募集活動により空室期間の短縮をはかり、空室が一時的であることを事実関係から説明できるようにしましょう。

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