営環境は、日々、目まぐるしく変化しています。荒波の中で経営判断を行い、かじ取りする経営者に必要なもの、それは自身の羅針盤をもつことではないでしょうか。
経営理念を鍛える
初めて社会に出て仕事に就いた時、失敗して自身の至らなさを思い知らされたこと、反対に顧客のことを思い一生懸命に動いて感謝され、喜びと自信を深めたこと。上司や恩師の助言、部下のサポートなど、これまで様々な経験を蓄積して自身の経営理念を創りあげてきたのではないでしょうか。
経営理念は、言語化して社内で共有することで現実の経営に反映させることができます。成功体験にだけ頼ると進路を見誤るかもしれません。先人の知恵や経験にも学び、経営理念を常に鍛えていくことが大切です。
アンテナを張る
経営判断が常に正しくできる保証はありません。自身の経営姿勢を映し出し、振り返ることのできる合わせ鏡を持つことも大切です。自分の右腕となる参謀を幹部として配置することも必要でしょう。また外から経営リスクに気付く仕組みを作ることも大切です。社外取締役、社外監査役を活用するなど、人生経験を積み、異なる環境で経営に従事してきた人を自社の経営アドバイザーとして招き入れ、自社が直面する事象を把握し、客観的に評価できるアンテナとしての人材をもつことも有用となります。
経営監査を活用する
大手電機メーカーが、経営トップ主導のもと不適切な会計処理を続けていたところ、海外の大型投資のリスクを把握できず、経営危機に直面したことは、記憶に新しいと思います。実態の報告が尊重されない社風のもとでは、現場から悪い情報が経営者に伝わりにくくなるのではないでしょうか。
このようなとき、経営監査を活用することもできます。社内の内部統制機能を点検し、リスクに気付き、改善につなげる手法です。経営判断に終始問われるのは、他人の言葉に冷静に耳を傾け、自身の中に落とし込む勇気を持つこと。いつも自身の羅針盤に照らし、感情でなく理性で判断できるよう謙虚な姿勢を持ちたいものです。