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消費税の「軽減税率」導入問題 「黒ネコ」と「たいやき」の昔話

2015年1月9日 | 消費税

平成27年10月の消費税増税は延期

平成26年11月18日、安倍首相は、GDPが2四半期連続でマイナス成長になったこと等を踏まえ、平成27年10月に予定していた消費税10%の増税を平成29年4月まで延期する方針を発表しました。
また、平成29年4月増税時のタイミングでは、景気条項を付することなく、延期する考えがないことも示しています。自公両党はこの再増税時に「軽減税率」の導入を目指しているようです。

与党税協が示した軽減対象範囲の8類型

これは消費税の標準税率より低い税率を「生活必需品」に適用するという議論です。
6月に与党税制協議会は「飲食料品」の「軽減税率」の対象範囲の8パターンを示しています。

①全飲食料品、②全飲食料品-酒、③全飲食料品-酒-外食、④全飲食料品-酒-外食-菓子類、⑤全飲食料品-酒-外食-菓子類-飲料、⑥全飲食料品-酒-外食-菓子類-飲料-その他の加工食品(=生鮮食品)、⑦米、みそ、しょうゆ、⑧精米

この「軽減税率」の議論は、低所得者ほど税負担が重くなるという「逆進性」を緩和することが目的で、欧州の付加価値税(日本の消費税に相当)では、食料品や書籍に導入されています。
一方で「軽減税率」導入には、否定的な議論もあります。①対象品目の「線引き」が困難であること、②食料品の軽減税率は高所得者にも恩恵が及ぶこと、③事務処理コストに零細事業者が耐えられないことなどが挙げられます。

「線引き」問題は昔からあった?!

欧州の軽減税率導入時点では世の中の取引が今ほど複雑ではありませんでしたが、現代はサービスとモノが複合的に組み合わさっているだけに、今の欧州の付加価値税でも「線引き」問題は大きな課題を抱えています。確かにテイクアウト、出前、ケータリング、イートインや居酒屋の酒とソフトドリンクが混ざった「飲み放題メニュー」など「線引き」が難しいものがあります。
「線引き」の話は物品税時代もありました。「黒ネコのタンゴ」は「童謡(非課税)」に当たらないので課税(歌謡曲扱い)となったのに対し「およげ!たいやきくん」は童謡に当たるため非課税と判断されました。間接税課税の難しさはいつの世も同じです。

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