前回に続いて法人課税に関する改正です。以下、主な改正項目についてみていきます。
試験研究費の税額控除制度の見直し
控除限度の総枠は、当期の法人税額の30%を維持しつつ、オープンな技術革新を促進する観点から、共同研究・委託研究などの「特別試験研究費」については、控除限度額を別枠で5%手当てし、特別試験研究費の範囲を拡充するとともに税額控除率も引上げています。また、限度超過額の繰越控除は廃止となっています。
なお、試験研究費の総額に係る税額控除限度額は、当期の法人税額の25%(現行30%)に引下げられています。
所得拡大促進税制の拡充
給与等支給額の増加要件を緩和し、中小法人等については、平成28年4月1日以降に開始する適用年度について3%以上(現行5%以上)とし、それ以外の法人については、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度について4%以上(現行5%以上)としています。
外形標準課税の拡大
中小法人等に対する適用は見送られ、資本金又は出資金1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率を次のとおり改正し、それぞれ平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に開始する事業年度からの適用となっています。
改正案
平成27年度 | 平成28年度 | |
---|---|---|
付加価値割 | 0.72% | 0.96% |
資本割 | 0.3% | 0.4% |
所得割 | 6.0% | 4.8% |
付加価値割(現行0.48%)と資本割(現行0.2%)は2倍に拡充、そして、所得割(現行7.2%)は2/3に引下げられ、赤字法人には厳しい改正となっています。
また、地方法人特別税の税率(現行67.4%)も適用開始時期を同じくしてそれぞれ93.5%、152.6%と改正されています。
なお、賃金を上げた企業や中堅企業に対しては緩和的な特例措置が取られています。
自己株取得による資本金等の額の見直し
自己株式取得等によって資本金等の額が、資本金と資本準備金を加えた額を下回る場合、当該金額(資本金+資本準備金)を資本割の課税標準とし、また法人住民税均等割の税率区分の基準とする見直しがなされています。これにより、自己株式の取得による減税に制限がかかることになります。