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東芝・不正経理問題で注目! 「工事契約会計基準」とは

2015年8月8日 | 法人税

東芝、不正経理の規模1,500億円か!?

 東芝の巨額に上る不適切経理問題が波紋を呼んでいます。当初はインフラ工事部門で3年間にわたり500億円の利益が前倒し計上されていたことが問題とされていましたが、その後、決算発表は延期され、テレビ・PC・半導体部門でも会計処理が適切でなかった疑いがあると報道されています。

「工事契約会計基準」とは?

 具体的には、インフラ工事部門では、「工事進行基準」の適用において、総原価が不当に過少であったということのようです。
 上場企業や会社法上の大会社は「工事契約に関する会計基準」(工事契約会計基準)が適用されます。この会計基準では、「成果の確実性」が認められる場合には、「工事進行基準」を適用し、工事の進捗に応じて売上・原価を計上し、「成果の確実性」が認められない場合には、「工事完成基準」を適用して、完成時に売上・原価をまとめて計上するものとされています。
「成果の確実性」がある場合とは、①工事収益総額、②工事原価総額、③決算日における工事進捗度が信頼性をもって見積もりができる場合をいいます。

「工事進行基準」における工事収益

「工事進行基準」による工事損益の一例を上げてみましょう。

【設例】見積工事収益総額 1.5億円
見積工事原価総額 1.0億円 
(発生原価 第1期0.2億円・第2期0.5億円・第3期0.3億円) 進捗率 原価比例法

この場合、工事損益は次のようになります。

  第1期 第2期 第3期 合計
工事収益 0.3億 0.75億 0.45億 1.5億
工事原価 0.2億 0.5億 0.3億 1.0億
工事利益 0.1億 0.25億 0.15億 0.5億

「工事完成基準」を適用した場合には、第3期目に工事収益1.5億円・工事原価1.0億円(工事利益0.5億円)をまとめて計上するのに対し、「工事進行基準」により損益を計上した場合には、決算日における工事の進捗(第1期20%、第2期70%、第3期100%)に応じて、収益が計上されるため、合理的なものと考えられます。
ただし、それは「成果の確実性」が担保されている場合に認められます。見積工事原価が不当に過少なケースでは、より利益が前倒し計上されることになるからです。

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