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使用者原始帰属制度と税法

2019年5月21日 | その他

使用者原始帰属制度

特許法の改正で、従業員の業務上発明特許について、その発明時に会社に帰属させる使用者原始帰属制度が設けられています。青色発光ダイオードの発明でノーベル賞を受賞した中村修二氏が元勤務先の日亜化学に発明の対価を求めた訴訟で地裁が 200億円との判決を出したときの国内企業のショックから、業界の悲願として制度化されて来たものでした。
 使用者原始帰属制度は、従業員が職務上で発明したものは無条件に会社のもの、というのではなく、契約が予め存在していて、発明者である従業員はその契約で定められている「相当の利益」を得る権利が確保されている、という条件を前提にしています。

「相当な利益」とは

 相当の利益は、会社に対し、発明のインセンティブとして、発明成果に対する報いとなる経済上の利益を従業者に付与する義務を課すもので、その付与の定めの内容が不合理でない限り、とされています。
 その相当の利益とはどの程度のものなのか、興味の湧くところですが、名古屋国税局の文書回答事例に参考となるものがあります。
①特許出願時に出願補償金として1万円
②特許権登録時に登録補償金として3万円
③登録特許実施時又は他者に実施許諾時に実績補償金
④登録特許の他者への譲渡時に譲渡補償金
⑤各補償金受給権は、発明者の退職後にも存続し続け、死亡後には相続人が承継
 上記③④については、会社が受けた利益に応じて、発明者の貢献度を斟酌して決定としていて、%の明示がなく、これで予め相当の対価を得る権利が確保されていると言えるのか疑問が残ります。

「相当な利益」は全部雑所得

 国税局への確認内容は、従業員の受ける相当の利益を巡る課税関係で、従業員側は①~④のすべて雑所得に該当し、会社側は①②は特許権の取得価額、③④は損金に該当する、としています。
 理由は、従業員から会社への特許権移転ではないので譲渡所得不該当、特許法上の発明者としての地位に基づく受給であり、退職・死亡にも拘らないものなので給与所得不該当、臨時・偶発的な所得でもないので一時所得不該当、従って雑所得該当、としています。

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