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所得処分説?所得波動説? 法人税はなぜ損金不算入?

2015年5月7日 | 法人税

H27税制改正~法人実効税率引下げへ

 平成27年度の法人税の税制改革では、法人税率について大きな改正がありました。
法人実効税率を数年かけて20%台に引き下げることを念頭に、改正前の34.62%から平成27年度に32.11%、平成28年度31.33%とするものです
ただし、「税率引下げ」の改正には、「課税ベースの拡大」が付き物です。税源を確保するという意味合いですね。
特に今回の改正では、欠損金の繰越控除限度額が控除前所得金額の80/100から段階的に50/100と引き下げられます(繰越期間は10年に延長)。経営基盤の弱い中小企業については現行の控除限度額のままとされますが、大法人のタックス・プラン二ングには大きな影響を与えるものです。
とはいえ、「国際競争力をつける」「成長志向に重点」という政策の中で、「大法人20%台」となる現実味を帯びてきました。

法人税はなぜ「損金不算入」なのか?

 この「法人税」ですが、会計上は「費用」とされますが、税務上は「損金」とされません。いわゆる「損金不算入」とされる項目です。
 法人税が損金不算入とされる理由としては大きく二つの説があります。「所得処分説(利益処分説)」と「所得波動説」です。

①所得処分説(利益処分説)
 法人税・住民税はもともと所得のうちから納付することが予定されており「利益処分的なもの」と解されるため。
②所得波動説
 法人税・住民税を損金算入すると、所得金額が減少し、循環的には波動が生じる。これでは所得の変動以上に税収が年度により変動し、租税政策上好ましくないため。

昔は「損金算入」の時代もありました

 とはいえ、日本でも昭和15年までは法人の所得課税上、損金算入とされていました(法人税の前身の第一種所得税)。
この第一種所得税ができた頃は税収に対する貢献度も低かったためか、比較的大らかに取り扱われたようでしたが、次第に「費用説」に対する異論が出始めます。その後戦争の時代になると、戦費確保の時代要請もあり、新設された「法人税法」では「損金不算入」とされました。「課税ベースの拡大」という意味では、当時でも大きなインパクトがあったものと思われます。

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