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共有持分の贈与と放棄の相違

2013年2月14日 | 相続・贈与税

共有持分の放棄はみなし贈与

共有者が自分の共有持分を他の共有者に贈与すると、受贈者には贈与税が課税されます。共有者がその共有持分を放棄したときは、民法上、その持分は他の共有者に帰属することになっていますが、これは単独行為なので贈与には該当しません。でも、相続税法上、贈与とみなされて、他の共有者に贈与税が課税されます。
共有持分の贈与も共有持分の放棄も、ここでは、同じ課税関係になります。

みなし贈与も所得税の非課税

他方、所得税法では、個人からの贈与により取得することによる利得は非課税です。この「贈与」には、贈与とみなされるものを含むものと規定されています。この段階では、贈与税と所得税の二重の課税は忌避されています。共有持分の贈与と共有持分の放棄は、ここでも、同じ課税関係です。

個人間の贈与・放棄と譲渡所得

共有持分の贈与や放棄をした側に視点を移してみます。個人に対して財産の無償移転をする行為は、共有持分の譲渡による財産権の移転ではありませんから、譲渡所得に対する所得税の課税問題が生ずることはありません。従って、ここでも、共有持分の贈与と共有持分の放棄は、同じ課税関係です。

取得日・取得費の規定の摘要

ところが、譲渡資産の取得日・取得費の規定の適用に関しては、大きく課税関係が異なります。個人間の贈与の場合には受贈者は贈与物件に係る贈与者の取得日・取得費を引き継ぐのですが、この規定に於いては、「贈与」には、贈与とみなされるものを含むものと規定されていません。共有持分の放棄はみなし贈与とされる行為なので、放棄者の取得費はみなし受贈には引き継がれません。従って、共有持分の贈与と共有持分の放棄では、課税関係が変わるのです。

二重課税問題に直結するテーマ内蔵

共有持分贈与の場合には、贈与税で時価課税され、その贈与物件を次に譲渡する時に再び時価課税されます。引き継ぐ取得費を超える部分は二重課税となります。それに対して、共有持分放棄の場合には、取得費の引き継ぎがないので、まるまるの二重課税になるのかと推測されそうですが、当局側の課税の実務では、贈与課税時の時価を取得費とするので、逆に二重課税部分は全くなくなります。意外にも軽い課税関係になります。

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