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相続税軽減目的で取得した不動さんの評価

相続税軽減目的で取得した不動産は、財産評価通達に拠らないこと(平成29年5月裁決)

相続で取得した不動産の評価をめぐって、財産評価通達に定める評価方法に拠らないことが相当と認められる特別の事情があるか否かの判断で争われた事件で国税不服審判所は、被相続人の不動産取得から借り入れまでの一連の行為から、評価通達に拠らないことが相当と認められる特別の事情があると認定した上で、他の合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価するのが相当であると判断し、審査請求を棄却した。

1、 この事件は、不動産等を相続により取得した相続人が、取得した財産の価額について財産評価通達(評価通達)に定める方法に拠って評価額を算定したうえで、相続税の申告をしたのが発端となった。

2、 この申告に対して原処分庁が、一部の土地建物について評価通達に拠って評価することが著しく不適当であると判断、国税庁長官の指示を受けて評価した価額に拠って相続税の更正処分をしてきたものである。そこで相続人は、原処分庁の全部取り消しを求めて審査請求したという事案である。

3、 通常は、(審査)請求人が評価通達に拠ることが相当ではない特別に事情があると主張するのが一般的だが、この事件では、逆に、(審査)請求人側が評価通達に拠らないことが相当であると認められる特別の事情がないとして評価通達6項(この通達の定めにより難い場合の評価)を適用することはできず、評価通達に定める評価方法に拠って評価すべきである旨主張し、全部取り消しを求めたものである。

4、 裁決は、被相続人の不動産の取得から借入までの一連の行為は、多額の借入によって不動産を取得して相続税の負担を免れることを認識した上で、相続税負担の軽減を主目的として不動産を取得したものと認定した。借入金は、評価通達に基づく評価額を著しく上回り、他の相続財産の価額を大きく減殺する結果、本来負担すべき相続税も免れるものであると指摘した。

5、 こうした行為は、相続税の税負担の軽減策を採らなかった他の納税者との租税負担の公平性を著しく害し、相続時の目的に反するとした。

6、 すなわち、評価通達に拠らないことが相当と認められる特別の事情があるとして、他の合理的な時価の評価方法すなわち「不動産鑑定評価」に基づく評価方法が相当と判断し、請求側の訴えを棄却した。

7、 以上から、極端な相続税の節税目的のため、莫大な借り入れをして1棟ビルなどを購入し、その評価額と借入金との差額で相続財産全体額の圧縮を図ったとしても、これは認められないということである。無謀な節税対策は、通らないということである。

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