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遺品に刀剣があったとき

2020年3月27日 | 相続・贈与税

父親が亡くなり、遺品の中に生前、大切にしていた刀剣が残されていた時、相続税の申告に向け、財産評価が気になります。

相続評価はどうなる

相続税法の財産評価は、時価主義を基本原則としており、書画骨とう等については、「売買実例価額」、「精通者意見価格」等を参酌して評価額を求めると規定しています。高価な美術品の場合は、美術年鑑などを参考にしてある程度は想像がつくかもしれません。古美術商など専門家に鑑定評価を依頼すれば、意見価格を知ることもできるでしょう。しかし、生前、銘品であることがはっきりしている場合を除き、ほとんどの場合、美術品としての価値があるのか調べる必要に悩むのではないでしょうか。

刀剣は銃刀法の規制を受ける

遺品に刀がある場合、財産評価の前に対処すべきことがあります。刀剣類について登録のないものは所持できないことが、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に規定されています。刀を合法的に所持するためには、美術品として都道府県教育委員会の登録を受ける必要があり、登録のないまま家の外に持ち出すことはできません。
遺品の中から刀剣類が出てきたら、まずは、登録証の所在を確認し、登録証が見つかれば相続人に名義変更し、登録の有無がはっきりしないときは、最寄りの警察署に届け出て、都道府県教育委員会で美術品として新たに登録するか、警察に廃棄のため、引き渡すかを判断しなければなりません。

鑑定を刀剣商に相談する

Sさんは、亡き父が遺した刀剣3本(登録証あり)を警察に届け出て、錆のあった2本は廃棄のため引き渡し、装丁の綺麗な脇差1本を手許に残しました。登録証はSさんに名義変更したうえで、鑑定のため、自宅近くの刀剣専門店を訪ねました。
Sさんの先祖は茨城県の出身。水戸藩の藩士で、脇差は江戸時代後期の作品でした。保存状態が良くなく、美術品としての評価はほとんどありませんでしたが、店主はSさんのご先祖が代々、刀を大切にしてきたことを褒め、刀剣は家族の健康・職業・財産を守るため、これからも家宝としてつなぐべきことを教えてくれました。帰り道、Sさんは、自分もこの脇差を子供たちに伝えていこうと決意しました。

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