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居住用は形式主義から実質主義へ

2020年3月5日 | 所得税

契約書明示主義の形式主義

 消費税法では、人の居住の用に供する家屋である住宅の貸付けは非課税と定めています。
住宅でも、事務所などに使用することもあるので、その線引きとして、貸付契約書において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る、としています。
契約書明示主義を採っているわけで、判定は事実・実質を追求しない形式主義です。

居住用限定と居住用非限定

賃借人が自ら居住の用に供しないことが契約書上明らかであっても、住宅の貸付けとして非課税の扱いとなるものがあります。
賃借人が住宅として転貸することが契約書その他において明らかな場合です。借上げ社宅や不動産管理会社の賃貸借が該当します。通達で明示しています。
そうすると、不動産管理会社などが一括借上げするような時は、一括借上契約書に、各賃貸物件毎の転貸先が居住用なのか非居住用なのか明示しておかないと、全物件が課税取引となってしまいます。

居住用非限定の場合の仕入税額控除

居住用非限定の契約書での賃貸は課税取引なので、それに対応する賃貸物件の取得に係る仕入税額は控除可能です。仕入税額控除の場面に焦点を当てると、居住用非限定契約は必ずしも悪くありません。
しかし、これは、消費税の税額控除を大きくすることを許す制度上の欠陥、と考えたらしく、この度の税制改正大綱で、穴ふさぎが企図されました。

形式主義廃止の税制改正大綱

 令和2年度の税制改正大綱は、住宅の貸付けに係る契約において用途が明らかにされていない場合であっても、当該貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税を非課税とする、と言っています。形式主義を廃して、実質主義に転換するとしているわけです。

居住用非限定から非居住用限定へ

 実質主義の結果、仕入税額控除制度の適用を認めるのは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物に限る、ということにするわけです。
契約書上で居住用非限定なら税額控除可能だったという範囲を狭め、非居住用限定との実質判定を基準にしようとしています。

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